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生ハムを白根から世界へ! SHIRONE meat Labo. ROOTs(シロネミートラボルーツ)

カテゴリー 食事・外食・レシピ

白根は新潟市南区を構成する地域のひとつで、白根大凧合戦の地として知られています。新潟県内最大の仏壇の産地でもあり、優雅な蒔絵装飾が施された白根仏壇は長い歴史と伝統を受け継いでいます。一方、農業も盛んで、「果物王国」としても有名です。洋梨のル・レクチェを始め、いちご、ぶどう、桃など年間を通して旬の味覚が生産されています。そんな土地で、「日本産の生ハム」を作っている人たちがいます。白根から世界へ挑むハム工房「SHIRONE meat Labo. ROOTs」を訪ねました。

スペイン産ともイタリア産とも違う「白根産生ハム」

生ハムといえば、スペイン産のハモンセラーノとイタリア産のプロシュットを思い浮かべる人が多いでしょう。ハモンセラーノは味が濃く食べごたえのある食感。そぎ切りにしておつまみとして食べるのがオススメです。プロシュットは癖がなくやわらかい口当たりで、誰でも食べやすいのが特徴。そのまま食べるだけでなく、スライスして料理に使う楽しみ方もできます。

では「SHIRONE meat Labo. ROOTs」の生ハムはというと、塩味がやわらかく旨味が溶け出すような生ハムで、おつまみとしても料理としても美味しく食べられるという魅惑の逸品。白根のブランド豚「夢味豚(ムーミートン)」の骨付きもも肉と塩のみを原材料とし、手間暇をかけて熟成させた熟成生ハムです。「生ハムはちょっと……という人も、一度食べたら違いがわかると思います」と話すのは工房長の平野亮さん。

塩漬け2週間熟成16ヶ月

生ハムづくりは、まず骨付き豚もも肉の血抜きから始まります。血管に沿って上手く血を絞り出していきますが、ここが最も気を遣う工程だといいます。少しでも血が残っていると、見た目も味も香りも悪くなるだけでなく、何より腐敗の原因になってしまうからです。平野さんは「抜けたと思っても揉めばまた出てくるので、丁寧にそして徹底的にやります」と、言葉に力を込めます。その後2週間ほど塩に漬け込んで洗浄し、1次乾燥へと進みます。ここまでの仕込みは5℃以下で行わなければならないため、作業できるのは12月~3月の間だけ。春先からは乾燥と熟成を繰り返し、完成するのは最短で16ヶ月後です。

乾燥熟成中も、吊るしてそのままというわけではありません。気候に合わせて温度管理をし、肉の様子を観察しながら吊るす場所を変えていきます。風の当たり方ひとつで出来に違いが出てくるとのことで、気の抜けない毎日が続きます。すべての工程が手作業ということもあり、1年間に生産できる生ハムは100~120本程度。仕込み段階で15kgほどあった肉は、最終的に7kgほどになります。水分が抜けた分、味わいが濃くなるのです。

人も食べることのできるエサで育った白根の「夢味豚(ムーミートン)」

「SHIRONE meat Labo. ROOTs」で使用している「夢味豚(ムーミートン)」は、より良質な豚肉を求めて品種改良されたもので、三元豚と四元豚をかけ合わせて生まれた豚です。特筆すべき点は、白根産の米、米菓、亜麻仁といった、人も食べることのできるものをエサとしていること。さらにこのエサは醗酵、液状化されたリキッドフーディングであることも重要な点です。通常、豚のエサは粉末状であることが多く、これを食べると粒子が肺に入って肺炎を引き起こします。そのたびに抗生剤を注射して治療をしますが、リキッドフーディングだとその心配がなく、しかも水分も補給できる利点があります。極端にストレスを嫌う豚にとって、注射が不要ということは、元気に育つことができるということ。もちろん飼育環境も徹底的に管理しており、繊細な豚たちがストレスなく過ごせるよう配慮されているのです。

そんな「夢味豚」は臭みがなく甘みがあり、柔らかい豚肉です。脂の融点が低いため、口に入れるとすっと溶けてしまいます。熟成させることが可能で、「10日間くらい煮込むと爆発的に旨味が上がるんです」と職人の長沼健太さんが教えてくれました。この「夢味豚」を使うことで、凝縮された旨味が口の中でとろける生ハムが出来上がるのです。

日本の生ハムを作ろう

そもそも生ハムを作るきっかけとなったのは、長沼さんが経営するダイニングバー「na_Gi(ナギ)」で自家製生ハムを提供していたことでした。店の常連だった吉沢一孝さん(「SHIRONE meat Labo. ROOTs」現オーナー)がその味を気に入り、「白根で日本の生ハムを作ってみないか」と持ちかけたのです。
白根はもともと豚食文化の土地。焼く、煮る、揚げるという方法ですぐに消費してしまうため、加工保存する必要がありませんでした。だからこそ豚肉の加工食品は新しい挑戦でもあり、長沼さんは同じく店の常連だった平野さんを誘って、工房の立ち上げに着手しました。「田んぼや果樹園を通って、弥彦山からのいい風が届きます。自然に囲まれた場所でハモンセラーノやプロシュットに並ぶものを作り、世界へ向けて『白根』という土地とともにアピールしていきたいです」と、長沼さんは夢を語ります。

オススメの食べ方

最後に「SHIRONE meat Labo. ROOTs」の生ハムの美味しい食べ方を、長沼さんに伺いました。
「かなり高価な生ハムになるので、まずはそのまま食べてほしいですね。よくフルーツと合わせますが、日本のフルーツは甘みが強いのでオススメしません。大根やカブといった、癖がなくて水気があり、シャキシャキした食感の根菜と合わせてみてください。そのままでは苦手という方は、ポテトコロッケやポテトサラダの具材にするといいと思います。リゾットに入れると良い出汁になりますよ」

SHIRONE meat Labo. ROOTs
住所 新潟市南区大通黄金2-2-2
電話 025-378-0038
http://www.roots-shirone.com/

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