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生活を豊かにする仕事 〈エッセイ〉

カテゴリー お酒・遊び・夢・旅・仲間・おしゃれ 等

働く目的を内閣府『国民生活に関する世論調査』から見ると、「お金を得るために働く」と答えている人は5割から6割「生きがいを見つけるために働く」が約2割、「社会の一員として、務めを果たすために働く」「自分の才能や能力を発揮するために働く」が続きます。この傾向は、2000年代に入ってあまり変わっていません。しかし、理想の仕事は?となると、必ずしも「お金」ではなく、むしろ「仲間と楽しく働ける仕事」がいいという傾向が強く出ています。

昨今では経済的に豊かであることを望みながら、仕事、職場の環境、プライベートだけでなく生活全体が楽しく豊かであることを望む人が多くなっています。長時間労働やきつい仕事が敬遠されるのもこのような理由から来ているといえます。

そして、様々な理由や解釈はありますが、世の中が豊かになり、衣食住に関しては安価に世良いものが手に入るようになることで、それほど稼がなくても生きていける時代になりました。これにより、企業や組織が社会的意義をしっかり持ち、働く人たちがコレに同調しやすい組織ほどいい人材が集まり、業績を伸ばす傾向にあります。

お金を得るために働くが、社会的意義のもと、自身の役割をしっかりと感じることのできる仕事をしたい、という人が増えているというのも、先に挙げた企業に人が集まる要因の一つになっていると考えます。

仕事が生活するための手段だけになってしまうと、仕事の時間が我慢の時間になってしまいます。だからこそ、意義をもって働くことが人生を豊かにするのだとしたら、仕事を通じて社会に何を届けるのか、そのために自分はなにができるのか、をしっかりと実感できる仕事を選ぶことが生活全体を楽しくするための必須条件です。

私の法人は保育園の運営を行っております。保育園の社会的意義は様々でしょうし、それこそ園の数だけ意義が存在します。その中で私が実現したいことは、保育を通じて「子育てしやすい地域づくり」を実現する、です。保育園で働く保育士の先生は、保護者が企業や組織に勤務するために、子どもを見ていてくれている人ではなく、子育て、子どもの成長について学び続けているプロフェッショナルです。
インターネットでは便利な情報がたくさんあります。情報サイトに多くの人たちの意見やアドバイスを見つけることができ、自分自身の心配事を解決に導いてくれることも多々あることでしょう。しかし、本当にそういった情報が正確なものかどうか、群集心理に流されているものではないか、を判断することは非常に困難です。だからこそ、子育てのプロフェッショナルが集まる保育園において、子どもの状況に応じた対応や、成長過程で必要なことを学び続ける保育士に、相談しやすい環境があることが、子育てしやすい地域づくりになると考えています。

保育園の運営に意義をもって運営することが、子どもたちの将来への豊かさになると信じているように、1人1人が「働く」ことの意味を考えると、社会がより良い方向に向かうと信じています。

意義を通じて仕事を見ると、若い人が働くこと、豊富な人生経験を持つ中高年が働くこと、それぞれ役割と、仕事において対応できる場所が分かれており、エネルギッシュに勢いをつけて動く若い世代と、知恵と経験をもって予測と結果で動く中高年の方々と、両世代が同じ目的に向かって進んでいくことがとても大切で、これが私の考える理想的な組織の在り方だと考えます。

例えば、保育、子育て支援という仕事でみると、若い世代はもちろん、何歳になっても地域のために、社会とかかわりをもって働くことができる仕事です。ほかにも多くの仕事がありますが、何歳になっても人生経験を生かして、社会に貢献でき、生活を豊かにできる仕事を選ぶことが、明るく楽しく人生を過ごせるのだと思います。

社会福祉法人 仁和会
理事長 松屋哲雄(まつやあきお)

西区内野西にアルル保育園、江南区曽野木に曽野木アルル保育園の2園を運営。保育園を通じて、子育てしやすい地域の実現に向けて、保育のプロフェッショナルである保育士の育成と、子どもたちにとって最も良いことは何か?をみんなで考え成長し続ける保育園づくりを行う。

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